IT

ーーIT革命 

日本はこれまでに3度のIT革命を経てきました。1つは1950年で、2つは1980年で、最後となる3つが現在の2020年〜なのです。IT化は様々な分野で進んでおり、コンピューター関連にはいち早く導入を試みる企業も多いとか。そうしたIT化の波を受け、日本では社会全体を巻き込んであらゆる産業にITの技術を取り入れよう、という意欲的な態度まで見せています。私もそうしたIT化の流れには大いに賛同しています。しかし不安な点もあるのです。今回はそれについてまとめてみたいと思います。

ーー①ITに慣れてない人に対する措置の遅れ

1つ目はこれです。IT化に乗り遅れた人たちはいまだに電子化に踏み切ろうとせず、手間のかかる事務作業の1つ1つを人手でこなしているのが現状です。こうしたIT化の恩恵を受けられなかった人たちは、次第に不満を募らせ、しまいには「IT推進派」と「IT反対派」の両極端の意見に分かれてしまうのではないかと危惧しております。ちなみに私はもちろん前者を全面的に支持しますが、IT化に乗り遅れた人たちは一体どのようにIT社会に適応していけばいいのか。ここが課題のポイントでもあると思うんです。

例えば、ITを極度に嫌うタイプの人は、幼少期からワープロやPCの扱いを許してもらえず、全てが手作業でこなせるものだと思い込んでしまっている、端的に言えば「非効率な人間」です。どの手作業もコンピューターに任せてしまえば大半のことは解決できる、というAIの利便性を無視して非生産的なやり方で淡々と仕事をこなしていくというもの。もちろん人それぞれITの扱いに対しては賛否両論あると思いますが、あまりに手間のかかる事務作業(及び定型作業など)は極力コンピューターに任せるべきです。特に顧客の電話予約や実店舗予約等はweb予約に変えて、成約に至るまでの雑多な入力情報やログイン情報などは基本的にAIに四六時中任せておけばいいのです。銀行、特に市役所などそういった公的機関は、IT化に乗り遅れている良い例ですよね。朝や昼に行けば高齢者がズラーっと並んでいるのがわかると思います。あれこそ時間の無駄であり、非生産的かつ非効率なやり方であると思うんです。

ではそういった人たちにはどのような措置を施せばいいのか。私の祖母はIT機器や情報端末を見るだけでむず痒くなるそうです(笑)。小さい画面にたくさんの情報が詰め込まれており、そこからさまざまなサイトにアクセスして買い物をしたり動画を見たりBGMを聴いたり・・。高齢者にとってその一連の作業が「苦手」なそうなんです。私たちにできることは、そういったITへの苦手意識を持つ高齢者に対し、ひたすらにITの啓蒙活動を続けることです。例えば、若い人の知的水準の高さを活かして、高齢者にスマホの使い方を教えてあげたり、高齢者にとって優しい簡易的な機能群を備えた専用のスマホ(携帯)を販売したり・・。できるところからITへの苦手意識を克服させてあげることが重要だと思うんです。

ーー②詐欺被害の危険性

次にこれですね。先日、SIMスワップという新手の詐欺手法が登場したことで、日本中を震撼させました。被害額は1年だけでも90億相当に上ると言われています。そしてネットにはありとあらゆる情報が詰まっています。そのため、情報収集も楽にできるようになっています。怖いのが、そうした雑多な情報源に潜んでいる「詐欺サイト」の存在です。詐欺は、あらゆるところに潜んでいます。メールに届いた一件の通知を開くとそこには本物そっくりのサイトが出てきたり、URLをクリックしただけで個人情報の入力画面まで誘導するという悪質なサイトも存在します。そこで心配になるのが高齢者によるスマホの利用です。

高齢者をターゲットにした古典的な詐欺手法として「オレオレ詐欺」というものがありましたね。今ではあまりみなくなりましたが、それでも騙されてしまう高齢者が一定数いるのは事実です。そして最も危険なのが、ネットに潜んでいる詐欺サイトの存在・・なのです。例えば携帯に1件のメールが届き、不在票がどうたらなんたら・・みたいな詐欺メールを見たとします。大抵の人は「こんなものは頼んでいない!」「これは典型的な詐欺だ」と見抜くことができるのですが、高齢者の場合はそれを疑いもせず不在を詫びようとしてメールを開き、個人情報を入力してしまう人が非常に多いのです。なぜ高齢者の詐欺被害は多いのか。私も前から疑問には思っていたんですが、おそらく情報端末に触れてない時代に育ってしまった高齢者は、ネットリテラシーという最低限の知識がまるで養われず、まるで情報弱者であるかのように悪質な勧誘やセールスにもほいほい従ってしまう人が多い・・。そんな高齢者の弱みを逆手に取り、ターゲットに絞るのが詐欺師ですから。やはり情報弱者は危険ですね・・。

ーー③寿命を縮めてしまう

これは都市伝説的な意味合いに近いですが、パソコンや携帯などのIT機器は「老化を早める」と一部では言われています。特に長時間の画面の酷使は目に毒ですし、考える時間が増えれば増えるほど高齢者の前頭葉機能が破壊されてしまう・・なんてことも言われています。私の祖母は3ヶ月前くらいから目の視力が大幅に低下し、今はリハビリも兼ねてある程度は改善したものの、やはり完全な視力には戻っていないそうなのです。さらにそれは「目の長時間の酷使」(いわゆる眼精疲労)によって発症された面もあり、高齢者がスマホをスクロールするときの画面の流れるスピードや、サイトをタップしたときの画面切り替えの速さなどに果たしてついていけるかどうかが少し不安なのです。

まあこれはITに限った話じゃないので、今は深く考える必要はないとは思うんですが・・。

ーーで、結局IT化は進んでいるの?

IT社会はこれまでに2回のブームを経て、ようやく現在の3回目で本格的にメスが入れられるようになったのです。つまり社会的にも注目されている分野ともいえ、あらゆる分野でITの実用化・汎用化に向け導入が進んでいます。たまに「IT化って本当に進んでるの?」みたいな意見も聞きますが、間違いなく進んでいると断言できるでしょう。おそらくこの意見を持つ人の周りは、都市部からはずれた田舎か、IT化が進んでいないアナログの仕事が多いんでしょう。そうした環境にいればIT化の恩恵を実感できないのも無理はありません。しかし着実に地に足をつけながらスイスイ成果を出しているのは紛れもない事実です。例えば、あなたが駅のホームで使っているSuicaも電子決済の一環です。これまでは切符でしたよね。なら私は思うんです。切符が電子化されたのならば、現金もそろそろ電子化の流れができてほしいと。

いまだにコンビニやスーパーで会計時に目がつくのが高齢者による現金払いです。後ろの列に並んでいた人は支払いが滞っている現場に業をにやし店員とその顧客に怒鳴りつけてしまった、という事例もあるほどです。まあ、感情的に訴えるのは別として、電子決済が当たり前とされた私たちにとっては、現金による支払いがどれだけ非効率なものであるかを自覚してほしいものです。長くなってしまいましたが、ITの恩恵を受けた私たちはもはやアナログな世界には戻れなくなっています。逆にITの存在を嫌う高齢者は保守的で現在のデジタルな世界に適応できないでいる。しかし時代が時代なので、うまく時代の流れに迎合していき、デジタル社会に少しずつ溶け込んでいければいいなと思っています。