ルッキズム世界 生きづらい世界だ

 

ーー概要

 

日本にはルッキズムという、容姿が人並みに優れている人たちを過剰に褒めたりする独特の風習があります。容姿が良ければチヤホヤされ、容姿が悪ければぞんざいに扱われる。この差は一体なんなのでしょうか?かくいう私もそのルッキズムという日本の風習に頭を抱えつつ、容姿で悩む毎日を送っています。皆さんはこのルッキズム世界にどう対応していきますか?″自分磨き″という聖人君子ばりのストイックな使命を課して食事制限、メイク、ファッション選びなど異性にモテるための努力を重ねるのか、あるいはルッキズムという日本の傾向にあらがい最初から諦めるのか、どっちを取りますか?

 

これには正解も何もありません。ルッキズムという概念を生み出したこの日本において誕生した私たちは否が応でもルッキズム世界に呼応していく必要があるんです。なお、異性から冷たい視線で見られたり家畜みたいに扱われても大丈夫だよって方は気にせず自分なりの人生を謳歌してください。あくまでルッキズムの波が押し寄せる現在においては″容姿を磨く″という行為がもはや一般化しているだけのことです。しかし時代や価値観は年を降るにつれて変化するため、もしかしたら孫世代の頃になればルッキズムという概念も薄れ、新しいうねりが待っているかもしれませんね。やはり時代に適応していくのが1番だと思っています。(ちなみに私はルッキズム世界に懐疑的な立場をとっています)

 

ーー時代に適応

 

現在は紙幣硬貨より電子決済による支払いが一般化しつつありますよね。遠い人との連絡手段といえば昔はポケベルやPHSガラケーなどの携帯端末機器でした。しかし今はほとんどの方がスマホを使っています。LINEなどのメッセンジャーアプリで遠い場所にいる人との連絡が容易に取れるようになり、ポケベルの受信はできるけど送信はできないという課題をクリアした次世代機と言えます。テレビもアナログからデジタルに切り替わったのはかなり前のことです。このように時代の流れとともに携帯やテレビなどの文明の利器がグレードアップしていき、利用者もますます増えていくというWin-Winの関係は先史時代から受け継がれてきたもの。

 

しかし先ほど挙げたルッキズムという日本の概念。これは果たして時代の流れとともにアップグレードしてきたものと言えるのでしょうか?あまりに乱暴なロジックに聞こえますよね。もちろんです。ルッキズムは「容姿がいい人ほどチヤホヤされ、容姿が醜い人ほど冷たく扱われる」という人間の差別的心理が潜んでいるのですから。そして、これは私が考えた容姿差別の一例です。(※絶対に悪用厳禁)

 

・容姿が醜い→美男美女だけ結婚すれば顔の良い子どもしか産まれない。日本はイケメンパラダイスになる!

・野獣と美女のデカップリング(分離)の実現。野獣と結婚するのはまさに美女の無駄遣いである。

・顔の醜い人は遺伝子を残さないでほしい。

 

…ほんの一例ですが、目を覆いたくなるようなファシズム的思考です。しかしこういった主張を容姿差別になぞるように平然と展開する愚か者がいるのも事実です。これはあまりにルッキズムの暗黒面を見た瞬間とも言えます。ルッキズムという概念ができるのは勝手です。それを他者に強要するのはどう考えてもお門違いであると。それになぜ人類は気づかないのでしょうか。現に容姿に起因したいじめが多くの学校で発生していますし、日本は容姿端麗な人と容姿醜悪な人に対する扱いの差があまりにもひどいと思うのです。顔は生まれ持ったもの、肌の色や体型から何まで全部、皆等しく与えられているのです。白人は黒人よりも優れている!→まさにナチズム的な考え方ですね。で、これを容姿端麗な人は容姿醜悪な人よりも優れている!に言い換えたらどうでしょう。何もナチズム的な考え方と変わらないのがわかりますね。つまりルッキズムとはそういうものなんです。

 

ーーよだかの星

 

私は宮沢賢治の『よだかの星』という小説に興味があります。これはよだかという容姿の醜い鳥が同じ鳥から仲間はずれにされ、さらにその根の太い咆哮と遠吠えから鷹にまで間違えられてしまう始末。そして鷹にはお前と一緒にされたくない、という理由から名前の変更を強要され、この世の中に絶望したよだかは誰からも咎められない「星」になりたい願望を抱き、最後見た自分は青く美しい光となっており静かに燃えていたという展開で幕を閉じるお話です。私はこれを見てよだかがあまりに不憫になり、思わず感情移入してしまいました。昔の童話や絵本話にはスイミーをはじめこのような動物の奇形をテーマにすることが多かったのですね。容姿差別をしている方にはぜひ読んでほしい一冊です。

 

長くなりましたが、この世界から容姿が原因で不当な扱いや差別を受ける人が少しでも減ってほしいなと切に願うばかりです…。